フエヤッコは非常に人気がある反面、飼育が難しい種であるといわれていますが、私が飼育した感じではそれほど難しいイメージはありませんでした。飼育難易度は普通です。
常に30匹程度飼育していましたが、餌付けに関しても難しくはありません。
価格帯も安く、水槽の中に黄色のアクセントが入ると非常に綺麗になるのでぜひ、フエヤッコの飼育に挑戦してみてはどうでしょうか。
- 学名 Forcipiger flavissimus
- 和名 フエヤッコダイ
- 英名 Yellow longnose butterflyfish
フエヤッコが難しいとされている理由
日本国内で流通しているフエヤッコはほぼ海外から輸送されて日本にやってきます。主にフィリピン、インドネシアあたりから輸入されています。フィリピンやインドネシアでは、観賞魚を採取して生計を立てている人々が多くおられます。
私を含め輸入者は、出来るだけ安く購入し高く売るが商売なので基本となります。フィリピンにも非常にたくさん輸出業者が存在しますが、海水魚の保管方法は驚くべきものです。
しっかりした管理体制と出荷基準を設けている会社は、価格も高く仕入れコストも高くなるため、どうしても価格の安い輸出業者からの購入になってしまいます。
輸送されてくるフエヤッコは何度も引っ越しさせられる
採取時はどのフエヤッコも元気いっぱいですが、皆さんの水槽に入居するまで非常に大変道のりなんです。
1回目の引っ越しは、採取されてからの漁師さんの所から空港近くの輸出業者への移動。
2回目の引っ越しは、輸出業者から輸入業者への飛行機にて空の旅をへて輸入者の水槽へ移動
3回目の引っ越しは、お客様のご自宅までの配送による移動
人間でも実際に疲れますね、移動距離にすればすごいものです。
この移動距離が問題ではなく、採取から届くまでの間、フエヤッコは餌切り(餌をあげないこと)されます。この餌切りが問題なんです。
フエヤッコは餌が食べれず空腹です
餌切りは輸送時のアンモニアによるダメージを軽減するために行うものですが、フィリピンから大阪まで3時間30分で関西空港に到着します。実際には、フィリピン現地でパッキングする時間や、日本の空港での受け取り開封など時間を考慮して、12時間程度の輸送時間で到着します。
意外に輸送時間って短いんです。その間のアンモニアダメージを軽減するために何日間も餌を与えずに餌切りを行います。
笑い話ですが、私はフィリピン現地の輸出業者に餌をプレゼントしたことがあります。飼育スタッフは笑いオーナーさんは怒ってました。スタッフさんは魚に餌をあげるなら、俺に餌をくれと言ってました。オーナーさんは水が汚れるから駄目だと怒っていました。結論としては、海水魚に餌をあげるということ自体が不思議なことのようです。
フエヤッコは状態の悪さによる飼育難易度の上昇
フエヤッコを含め多くの海水魚達は同じ状態で輸送されてきますが、空腹、長旅の疲れでダメージが蓄積されています。例えは不適切ですが、人間に例えて考えても数日間も食事をしない状態で、今までに見たこともない食事が出てきて食べることができるでしょうか。
フエヤッコからすれば、人工飼料は自然界で食べていた食事とは違う見たこともないものです。いくらお腹が減っていても食べませんよね。原因はココにあります。
フエヤッコの飼育水槽
フエヤッコの飼育をお考えであれば最低でも60cm程度の水槽は必要とお考えください。実際には45cmでも飼育は可能ですが、単独で飼育するのではなく他の魚種と混泳させることをお勧めします。そのためには45cmの規格水槽では少し狭いです。
オススメは45cmであればキューブ水槽あたりが候補に浮かびます。それ以上の広さがあれば問題なく飼育できます。
フエヤッコの餌付けのコツ
フエヤッコは決して餌付けが難しい種類ではありません。状態が良ければ粒餌ですらすぐに反応する個体もいます。
フエヤッコは餌を食べない状態が長くなると、まずそのまま餓死します。いきなり粒餌から餌付けするのではなく、冷凍のブラインシュリンプからスタートしてください。
アサリからの餌付けスタートは注意が必要
アサリからスタートされる方もおられますが、水質をコントロールできる自信のある方のみ使用してください。アサリは非常に水質を悪化させ、取り扱いを知らない方が使用すると水槽内にいらぬ病気を持ち込む場合もあります。
また、アサリで餌付けると後が大変という理由もあります。アサリで餌付けた個体は、アサリを与える期間が長くなればなるほど、粒餌への移行が難しくなります。
フエヤッコの餌付けは冷凍シュリンプからスタート
当店では、冷凍シュリンプからスタートしてます。理由としては、キョーリンさんの商品なので病気の持ち込みはなく安全である、冷凍シュリンプのほうが粒餌よりも反応が良いからです。
冷凍シュリンプを食べるのが確認できれば一安心です。それ以降は、粒餌を食べるまで冷凍シュリンプは一時お預けとなります。理由は、先に説明したとおりおいしいものを食べさせ続けると、粒餌を食べなくなるからです。
フエヤッコ 粒餌で餌付けに挑戦
粒餌で餌付けに挑戦しても食べない場合がります。当店では数種類の餌をチェンジしながら反応を見ています。3日程度続けても食べない場合は、いったん粒餌での餌付けを中止し冷凍シュリンプをあげ体力をつけさせてから、再び粒餌をあげていきます。根気のいる作業ですが、継続的に冷凍シュリンプを与え続けると経済面でも問題がでますし、水質を悪化させる原因になるので頑張りましょう。
フエヤッコ飼育のまとめ
状態の良いフエヤッコのみを購入するようしてください。出会う確率は低くなりますが、粒餌・冷凍シュリンプなど食べた個体だけを購入するほど徹底した方が確実です。餌を食べない個体が皆さんの水槽内で奇跡的に食べだす確率は、0ではなが低いです。内臓への疾患やダメージの可能性があるため、購入は控えましょう。
水質には敏感ではないが、水温変化には気をつけください。白点病にかかりやすいので水替えなどの際に水温変化を出来るだけ起こさないように気遣う方が安全です。
たいていの魚種との混泳には問題ないですが、サンゴはおいしそうに食べますのでお気を付けください。